東京モーターショー2017でのEVシフトに関連するニュースは、ちまたにあふれているので、充電回数というアナログなデータを書いておきます。

2011年8月にアイミーブMグレードを買ってから、2017年10月27日までの6年と2ヶ月ほどで、約7万5800kmを走りました。その間、1500回充電を行いましたが、そのうち街中やサービスエリアなどでおこなった急速充電は271回、同じく宿泊先など外での普通充電は23回、自宅での200V充電は総充電回数の80パーセントを占める1206回でした。これだけ充放電を繰り返しても劣化はほとんど感じていません。(車種により差はある)


今年4月からは電トラことミニキャブミーブ・トラックに乗ることが多くなっているので、走行距離は伸びていないと思っていましたが今年7月に富士山へ行ったこともあり、2016年の7月に6万kmで2017年5月に7万kmと10ヶ月で1万kmですから同じようなペースです。 

また、これまで幸いなことにトラブルはなく、交換したのはタイヤとワイパーのゴム、ブレーキランプ1個ぐらいです。

話は変わりますが、先日、自動車工業の勉強をする小学5年生を相手に、体験乗車と電気自動車の話をしてきましたが、電気自動車から降りるときにある子どもが発した言葉、「なんや普通の自動車や」が電気自動車の立ち位置をよく示しています。

連日、東京モーターショーに関わって電気自動車がテレビなどに取り上げられることが多くなっていますから、興味や関心をひいているのでしょう。日本経済新聞がおこなっている「」アンケートでも28日現在、約7割近い人たちが「乗りたい」と答えています。それは、どんなに新しい車かと膨らむ関心と大きな期待が含まれていての数字なのでしょうが、加速のスムーズさなどはあっても空へ飛び出すほどではなく、電気自動車はあくまでも「クルマ」であって、乗ってみて初めて「あやしげな」ものから「普通」の車と認識されるというのが現状ではないでしょうか。

ですから、電気自動車に乗っていない人が原稿を書くと、あいかわらず電気自動車に対する誤解も多く見うけられます。 

「」(2017/10/24)は、28日現在、同サイトのアクセスランキングで 4位となっていますから、注目度の高い記事なのでしょうが、意外な「問題点」が見られます。

たとえば、電気自動車の「技術的な問題」として取り上げられている「電気をより効率的にエンジンに伝える技術についてもまだまだ改善の余地はある」は、少なくとも「エンジン」は「モーター」だと思うのですが、それでも「効率的な技術」とは、たとえば損失を減らすためにケーブルを太くすることなのか、よくわからない書きぶりです。

電気自動車の本体価格が高いことは確かですが、「安全性能についても気になる」と書きながら、字数制限があるのか具体的に書いていないので真意がわかりませんが、高圧の電気を扱っていることが心配の一つなのかもしれません。しかし、最初に触れたように私の電気自動車は6年と2ヶ月で約7万5800km走りましたが、問題なく機能していますし、周りの電気自動車オーナーからも危険性の指摘は聞いていません。

さらに、「普及における最大の問題」として取り上げているのが「充電設備」ですが、30kWhのバッテリー容量の車を「家庭用のコンセントからフル充電する場合には最低でも半日以上はかかる」(太文字は加筆)と書いています。「家庭用のコンセント」というあたりから「問題」ですが、電気自動車の場合、100Vでも充電できることはありますが充電に時間がかかるために、普通は200Vのコンセントを新設します。(200Vは一般家庭にクーラー用などとして必ず来ています。日産では限度額はありますが、無料設置サービスをおこなっている場合があります。)

この200V専用コンセントであれば、30kWhの容量の車はゼロから始めておよそ10時間で満充電となります。

そこで問題にしているのは、「ガソリンスタンドで給油」との比較です。給油「数分」はよく持ち出される話ですが、通勤途中とはいえ、給油するためにはガソリンスタンドに立ち寄らなければなりません。ところが、電気自動車は自宅で充電することができますから、真っ直ぐに帰宅後、コンセントを差すだけで、翌朝には満タンになっています。夜8時から翌朝6時までで10時間ですから、その間に勝手に充電されています。便利さの土俵が違いますから比較は難しいですが、個人的な感想としては自宅充電は便利なことこの上ありません。

次には「急速充電設備」の不足、そして電気自動車充電が引き起こす「電力需要」は「かなり深刻な問題」で「電力不足」の「危険性をはらんでいる」とまで書いています。

まず急速充電器不足の件ですが、急速充電器を使用する電気自動車は全国にまだ約8万1,000台()しかありませんし、充電器を利用できるプラグインハイブリッド車を合わせても約13万8,000台です。それに対して現在、急速充電器は全国ににあります。2017年には電気自動車の台数も増えていますが、およそ2台に1カ所ほどの割合となっています。

それでも今後爆発的に電気自動車が増えると仮定すると心もとない数字でしょう。しかし、そもそも今はまだほとんど設置されていないトヨタ系列の店舗に追加設置されたとしてプラス約5000カ所、ホンダ系でプラス約2400カ所ですから合計1万4560カ所、充電器が1カ所1つとしてそこで「夏場の電力需要」のピークの昼過ぎの時間帯に一斉に充電を始めたとして、1万4560台しか充電することはできません。「急速充電設備」の不足がおこったとしても、「電力不足」の心配はないでしょう。

にハイブリッド車は576万4,401台ですから電気自動車も同じくらいに増えた場合、充電環境はどのようになるのでしょう。「急速充電設備」の不足がおこるでしょうか。

今後、ますます電気自動車に積まれるバッテリー容量が増えることから、楽観視する見方があります。私の乗る10.5kWhのアイミーブなら1回の走行距離が約90kmを越えると途中で充電しなければなりませんが、40kWhの新型リーフなら約270kmを越えるまで充電する必要がありませんから、大容量のバッテリーを積めば積むほど充電の回数は減っていきます。(距離は季節や使用環境により変化する)長い距離を走ることができるハイブリッド車で給油回数が減ったのと同じ事です。

解決策の一つは、電力需要が減る深夜の電気代を安くしてその時間帯での充電へ誘導することが考えられます。私の乗るアイミーブや電トラは約10kWhの容量しかありませんが、朝電気満タンになっていれば、1日の移動で追加充電することはほぼありません。

他にも太陽光発電の売電価格が下がる中、売電するよりも自家消費に回した方が良くなった場合は、パネルで発電した電気の一部を電気自動車の充電へ回すということも考えられます。家庭では電力会社から買う量が少なくなりますから節約になりますし、事業所では通勤費支給を減らすことができるかもしれません。


また、昼間に駐車している電気自動車をインターネットに繋ぐことにより(IoT:Internet of Things)、地域の太陽光発電の電気を電気自動車が搭載する大容量バッテリーで調整し安定化させることができれば、再生可能エネルギーを増やすことができますし、昼間に急速充電したい電気自動車へはそちらへ電気を回すこともできるでしょう。(V2G:Vehicle to Grid)さらに、このように駐車中に自分の電気自動車で売電することができれば、眠っている資産を生かすことにもなります。

(2017/10/24)

次ぎもよく出てくる話で「既存の発電所だけでは電気をまかなうことができない可能性すらある」と原子力発電の再稼働を暗示するようなことも書いています。このブログで何度も取り上げ説明してきましたが、いつまでもこの手の話は出てきます。

以下に関西電力管内に100万台の電気自動車が走り出したと仮定して、200Vの普通充電での例を書きます。データは古いですが、2年たてばさらにLED電球の普及や消費電力の少ない家電への移行など省エネは確実に進んでいます。(2011年以降電力消費量は)
200Vの普通充電では、1台が1時間で3kWh、100万台分なら300万kWhを必要としますが、たとえば関西電力の供給能力は原子力発電を除いて最大で2764万kW(1時間発電して2764万kWh)()ありますから、その10%ほどの割合です。これは多いように見えますが、明日すぐに関西電力管内だけで、電気自動車が100万台に増えるわけではありませんし、電気自動車が増える見通しがつけば、昼間の需要に合わせた太陽光などの再生可能エネルギーを増やすことで対応できるでしょう。(補足:九州電力管内の太陽光発電設備量は2015年5月末から1年間で)
具体的に を見てみると、2015年7月31日14時から15時のピーク時供給力は2791万kWで、当日15時の使用実績は2510万kWと使用率は約89%になっています。この日100万台の300万kWを使用実績に加えると2810万kWで19万kW足らなくなりますが、電気自動車の利用を前提としなくても今でも100万台分近くの余力はあるともいえますから、すぐに電力不足をまねくと悲観的にならなくても良いでしょう。
100万台の発電燃料は、電気自動車の方が省エネですから余った石油を回せばよく、「」にあるように「日本の石油輸入のうち、およそ35%が自動車用燃料として使われているが、これが5分の1(加筆:20%)でよいことになる」のですから、電気自動車の増加でかえって「画期的な省エネ社会が実現」するのです。
(2017/10/27)

たくさんの人たちに電気自動車への関心をもってもらうことは無駄なことではないですが、よく吟味した内容であってほしいものです。