次世代環境車の穴馬はLPG自動車か?(2018/08/27)

ドケケンブーム」というかドケケンシフト」が空振り?に終わっても、すでに電気自動車に乗っている者にとっては、「環境車」としてだけではなく、乗っていて楽しい車がすぐに使えなくなるわけではなく、維持コストの安さといった恩恵もなくなるわけではないので、こういった記事に対しては、「お好きなように」言ってといった感想しかありません。

「空前の」という形容詞がつくほどのブームとも思えませんが、自動車産業への投資をすすめる?投資アナリストにとってはそれほどの危機感があるということでしょうか。前提としてあるのは、「騙されるな」というのは、電気自動車に興味を持つ人へではなく、『ドケケン関連銘柄」に投資をしている』人達に向かっての警告のようです。(だとしても、間違ったことを書いてよいわけではありませんが)

この手の記事は、あいかわらず事実誤認が多く、電気自動車のことを少しは知る人が読むと内容に疑問符がたくさんつきます。

極端なタイトルで読者を呼び込んでいるのか、この記事が既読ランキングの上位を占めているところをみると、その内容を信じてしまう人も多いでしょうから、少しだけ勝手に修正を加えておきます。
読者が街で電気自動車に遭遇することはまず無いはずである
私が住む田舎でも確実に電気自動車の台数は増えています。国道を走っているとすれ違うことが多くなりました。運転中、対向車の中に電気自動車を捜してしまうことから、余計に多くなったと感じるのかと思いましたが、リーフに乗る知人も最近、日産ディーラーで先に充電する車があって、充電待ちに合うことが多くなったと言っていました。

対向車の中に電気自動車を捜してしまうような行動・意識は、心理学的に 「カラーバス効果」というそうです。自分の関心のあるものは、よく目につくようになることを差します。逆に意識がなければ、見えてこないとも言えます。

(画像:富士スバルライン5合目駐車場にならぶEV)
2台分の充電設備しかないところに5台の車が一度にやってきたら、最後の車は最大2時間(充電時間が長めの1時間として)待たなければならない
「街で電気自動車に遭遇することはまず無い」と書きながら、5台の電気自動車が一度に同じ急速充電器にやってくる設定は矛盾していますが、万が一そのようなことがあっても、1台目に充電を始めたオーナーは、家へ帰るとか次へ向かう必要分だけを充電し、後に譲るというのが賢いオーナーでしょう。このような状況で制限時間の30分間をフルに利用するというのは、あまりほめられたものではありません。

ガソリン車感覚で言うなら一度の給油で「満タン」が普通でしょうが、電気自動車の場合は次ぎに書くように急速充電器では「100%」にしないのが普通ですから、必要な分だけを入れ、充電時間制限の30分をめいっぱい使わないのが電気自動車感覚となります。

「80%の充電に急速充電で30分」という自動車メーカーの宣伝文句に「だまされて」はいけません。

その前に、『テスラ「モデルS」は専用充電器で80%から満タンにするのに30分から1時間必要』とありますが、しだいに劣化するという電池の特性から急速充電器では「100%」にしないのが普通で、85%ぐらいからは電気の入る量が細り、時間ばかりかかる割には電池容量が増えないというのが一般的です。

テスラに乗っていないので詳しいことはわかりませんが、テスラくらい大容量の電池を積む電気自動車が、無駄に時間をかけてまで「80%から満タンにする」とも思えません。
電気自動車が普及すれば今以上に莫大な量の電気が必要になるから、環境を破壊する発電所を新規に大量に建設しなければならなくなる
これは、昔からよく言われてきた話で、データは古いですが、EVのデメリット(2013/06/29)に以下のようにまとめています。(2013年当時よりも省エネはさらに進んでいます)

8)「節電」中に「電気」を自動車に使っている(電気代がかかる)
9)電気も石油資源で作っている
10)EVの普及がすすめば原発が必要になる

EVの普及がすすめば原発が必要になる? (2017/08/17)

2019年にはFIT(固定価格買取制度)による太陽光発電の買取期間10年間を終える所が出てきます。これにより初年度だけで電力会社へ売られていた約53万世帯の約200万キロワットが自家消費にまわるようになると見込まれています。これの受け皿として動く蓄電池である電気自動車はもってこいですが、このような状況を待つまでもなく、上のデータにあるように、明日いきなり東京電力管内だけに電気自動車が100万台あらわれても停電はしないのです。

それどころか、8000万台もある日本の自動車の一部でも電気自動車に置き換えることができば、燃料消費量換算でガソリン車に比べて「節約」幅の大きい電気自動車は、石油資源の無駄を省くことにつながり、安全保障上も重要な道具になり得るともいえます。

(2018/08/28)
太陽光発電のように晴れた日の昼間しか発電できない役立たずはともかく、風力も24時間稼働するとはいえ、風速にはかなりの幅がある。 精緻なシステムで運営されている電力網にとっては、このような不安定な電気はシステムの維持に悪影響を与える「無いほうがまし」とさえいえるような代物である
EVのデメリットに書きましたが、天候に左右される太陽光発電や風力発電の安定化(スマートグリッド)に昼間は駐車していることが多い電気自動車が貢献できるのではないかと研究は進められていますし、何よりも新型リーフ100万台分の満充電で最大4000万kWhの電気を市中に蓄えておくことができます。

近い将来起こるとされる東海・東南海・南海地震など大災害時には,太平洋沿岸部にある多くの発電所が停止することが予想され、その場合の電力不足が心配されています。このような時には電気自動車に蓄えられた電気が役立つかもしれません。

何よりも電気は真っ先に復旧しますが、それまでの電気確保には「無いほうがまし」な太陽光発電や風力発電から充電することができるでしょうし、避難所へ電気を運ぶことも出来ます。(些細なことで重箱の隅をつつくようですが、「役立たず」であるはずの太陽光発電は、曇った日でも明るければ少しは発電はします)

いろいろなリスクを分散させるためにも、電気自動車の普及はこれからますます重要になってくると考えています。こんなに将来性のある分野に投資しないのはどうかと、「だまされて」買ってしまった現・電気自動車オーナーは思います。 

(加筆)
(2018/08/29)